2012年5月7日月曜日

裁判員裁判で初めての性犯罪

全国3件目の裁判員裁判の裁判員選任手続きが1日、青森地裁(小川賢司裁判長)で行われ、裁判員6人と補充裁判員3人が決まった。

裁判員裁判で初めての性犯罪が対象となるため、手続きでは強盗強姦(ごうかん)の被害者の女性2人について、事件当時の居住地域と年齢を示し、裁判員候補者にその地域での居住歴を尋ねるなど、被害者のプライバシー保護や負担軽減への配慮がされた。

審理されるのは、田嶋靖広被告(22)が、青森県十和田市に住む女性2人に対する強盗強姦などの罪で起訴された事件。

手続きには、参加予定の裁判員候補者39人のうち34人が出席した。出席率は87・2%。地裁は出席した34人のうち、重い病気や重要な仕事などを理由に5人の辞退を認めたうえで、検察官、弁護士も加わった面談と抽選で裁判員らを選んだ。

地裁によると、手続きでは地裁職員が事件内容を記載した書面を配布。被害者の女性2人について、事件当時の居住地域と年齢が示された。書面の裏は、被告や被害者の友人などにあたらないかどうかを候補者に回答してもらう「当日用質問票」。今回は、地検の要望を受けて「十和田市に住んでいたり、働いているなどの事情がありますか」などの項目が盛り込まれた。

また、地裁職員は被害者を特定する事項を口外しないことや、メモを取らないことを求め、配布した書面は回収した。

被害者の知人や居住地の近い人などを裁判員に選ばない「理由を示さない不選任請求」をする方針だったが、地検はこの手続きを取ったかどうかを明らかにしなかった。

裁判員に選ばれなかった十和田市の会社員松田満さん(53)は選任手続き後に記者会見に応じ、「なぜ十和田市で起きた事件に呼ばれたのか」と疑問を呈し、「(こうした事件では)被害者と同じ地域に住む人は、最初から候補者にしない方がいいと思う」と話した。