2016年3月18日金曜日

司法制度改革の柱

日本の法や裁判をめぐる構造的な問題にメスを入れるべく、一九九九年に司法制度改革審議会(以下、改革審)が設置され、そこで国民の司法参加についても検討することになりました。

「国民の司法参加」とは、アメリカの法廷ドラマや映画などで見かけるように、訴訟手続に十二名の一般市民(陪審員)が裁判の判断権者として参加する「陪審制」が典型的ですが、いずれにしても、日本でもそれに類するようなものが想定されています。

そんな「国民の司法参加」が、今まで述べてきたような、日本の裁判手続におけるいろいろな問題に対する解決になるのか、疑問に思う方も多いのではないかと思います。

周知のとおり、いわゆる規制緩和政策を推進する際には、事後の救済措置としての司法制度を整備することが必要だと説明されており、改革審が設置されたのには、そのような背景もありました。そして、今まで論じてきた問題を解決することこそが、司法制度改革の眼目として位置付けられるべきでした。

この観点からしますと、司法制度改革のメインは、民事裁判の領域であるということになるはずです。ところが、結論からいえば、「国民の司法参加」について改革審が打ち出した最終意見は、さしあたり刑事訴訟(しかも重大事件)への参加であって、規制緩和政策とか、民事裁判の改革などといった問題とはほとんど無関係です。