2016年2月18日木曜日

診療報酬点数表の配分

いずれにせよ、民主制国家にとって、どのような制皮を選ぶのか、戦後は国民の選択によるほかはありません。そのためにも、私たち一人一人がわが国の社会保障の仕組みとその抱える謬題について理解することが重要なのです。

わが国の医療体制は、すべての人に医療保険が強制適用されるようになってから(一九六一年)、診療所や病院が急速に整備されてきました。医療を考えるうえで最も重要なことは、良質な医療を確保することです。そのために、いかに効率的な体制で、あるいは費用でそれを支えることができるかということを問題にしなければなりません。順序が逆になってはいけません。というのも医療は他のサービスと異なり、人の生命にかかわることだからです。

世界には、いまだ医療も薬も国民に行き渡らず、治る病気にもかかわらず十分な治療を受けられず、多数の人が生命を落としている国が多くあります。経済成長が鈍化するなか、先進国の医療費は経済変動とかかわりなく増加する傾向にあります。高齢化に伴い、老人医療費が急増し、GDPに占める国民医療費の割合は、上昇しています。間違いなく、医療は効率化を迫られています。が、それと同時に「医療の質」の向上も求められているのです。

わが国では医療供給の仕組みを、診療報酬点数表の配分によって政策誘導する方法がとられてきました。診療報酬の規模を左右するのは、医療保険の加入者数や保険料水準であり、医療保険をどうするかという議論と医療の仕組みがどうあるべきかが渾然と議論される傾向がありました。もちろん、医療そのものと医療保険は切り離すことはできません。

本来は、医療の仕組み、すなわちどのような医療の提供制度と医療の質を国民は求めるのか、それを財政的に支える医療保険制度はいかにあるべきなのか、そして両者を結びつける診療報酬の体系はどのようなものが望ましいのか、を議論していくべきなのです。わが国り医療はどう提供されているのでしょうか。