2013年12月25日水曜日

現場に飛び出すOFC

火曜日の会議漬けから一転して、OFCたちは水曜日と木曜日の二日間、セブンカーに乗って担当店舗を一通り回る。まず、店舗の外観を見て汚れや破損した個所がないかを確認する。それから店舗に入り販促用のポスターがちゃんと貼られているか、店内の整理整頓、店員の身だしなみ、鮮度管理と品ぞろえや、店員のレジ対応などを見て回る。漠然と店回りをしていても店の成績は上がらない。OFCは各店舗の課題を正確に把握して、その課題の打開策、解決の糸口を提示するほか、お互い話し合いながら、再び新たな仮説を立てて検証に挑む。

検討する場はバックヤードにあるパソコンだ。加盟店主と一緒にパソコンを操作しながら、この一週間の成績と次の一週間の売り場作りの作戦を練る。曜日による販売動向の差や、先週話し合い仮説を立てた発注が思惑通りになっているかなどを確認し合い、さらに修正を加えていく。二回目の店舗訪問は金曜日から月曜日までOFCによって違ってくる。本部も決まった店舗巡回を求めていない。例えば、金曜日には前年割れをしている商品群について、死に筋を排除し新製品を投入する手順を説明して、発注をしてもらったりする。土曜日、日曜日の売り上げが芳しくなかったら、当然、その店に出向いて加盟店主と対策を考えるようにする。

OFCには携帯端末が手渡されており、担当店舗の発注、販売情報を確認できるようになっている。OFCはどこにいても担当店舗の状況を把握し機動的な対応が可能になった。日曜日には、本部から商品情報や一、二週間先の販促計画などのお知らせ「情報バッケージ」が送られてくる。もしOFCの指導がマニュアルのような画一化した対応だったら、消費者の変化についていけないだろう。だから、毎週OFCを集め、朝令暮改もいとわない新しい指示を打ち出し続けるのである。

OFCの重要な役割は鈴木がFC会議で話した内容を加盟店主のレベルに合わせてわかりやすく解説することだ。二〇〇〇年代になって、鈴木は「消費は経済学でなく心理学だ」と、事あるごとに言い続けている。この言葉をOFCが店舗に落とし込むとどうなるか。消費者はきっかけがあれば買う予定がなくても商品を手にとり、最後は買ってくれるということである。そのために、加盟店主ら従業員は売り込みたい商品を売り場で目立たせ、試食や接客サービスを通して消費者に買ってもらうきっかけを作るのだ。待ちの商売ではなく、攻めの姿勢が大切なのである。

OFCは商圏にも気を配る。少子高齢化が顕著になり商圏が変化している。加盟店を開拓するリクルート部と連携しヽ、より細かな商圏分析を共有しなければならない。古くからある住宅地周辺は当然のことながら高齢者が増えている。高齢者の中には店に来ることが出来ない人もいる。二〇〇〇年代になって鈴木は「ご用聞き」という方向性を打ち出した。独り暮らしの高齢者が多くなる一方で、家の近くにあった米穀店や酒販店がどんどん淘汰され、買い物に不便な地域が散見されるようになった。そこでOFCは加盟店主に店の外に飛び出すことを提案した。店舗運営が一定レベルの水準にあるなら、「ご用聞き」に取り組むように促した。